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第15回
紅葉物語
1.Dr.グリーンに届いた一通のメール
尾崎さん!あー、ほら、そこの尾崎先生。あなたのことですよ。ナニ?私は尾崎ではないですと…。そんなことはどうでもよろしい。でもあなたは先日、当コーナー宛に以下のメールを送られました。

今回、写真を撮るときに気付いたのですが、桜の紅葉は葉縁から始まり、葉脈に沿って(葉脈と葉脈の間)中心へと進展して いくようなのですが、イチョウの場合、扇形の中心と弧とに挟まれた真ん中から 帯状に中心と弧に向かって黄化していくようなのです。もちろん、虫食いや傷などの受傷部が他部に優先して変色しているようですが、これは傷などにより活性酸素が発生するなど、2次的な生理活性があってのこと と容易に想像がつくのですが、サクラとイチョウの違いは一体、何なのでしょ う?!
裸子植物と被子植物の違い?それとももっときまぐれに種が異なるとパターンが異なるのでしょうか?Dr.グリーンがいつの日か解説してくれないかなぁ、 と思っております。こういう希望は叶えられるのでしょうか?

以上、このような思いもよらない紅葉にのめり込んだ質問を発したからには、あなたのお名前は、もう平成の尾崎紅葉先生以外にはありえません。ですので今回は、そしてこれからも、私はあなた様をずうーと尾崎さんと呼ばせていただきます。

ところでご質問に関しては、私もさっそく手元の小学生向けの学研「植物のくらし」を筆頭に、○○百科事典やら最近の「生物分子学」のリーダー的な人の本まで調べてみましたが、サクラの紅葉が傷ついた所を含めてどこから始まり、どのように広がっていくかという、もう天地創造の秘密に迫るほどの超専門的なオタク研究には、ついに巡り合えませんでした。 思えばこれほど難しい質問は、「ヤマノイモはオスイモとメスイモのどちらの方が美味であるか」というやつ以来です。あの時も知り合いを通じて「ヤマノイモ」を卒論にした学生がいないか捜してもらったのですが、ウソか本当か東京の大学には一人も居ませんでした。

でもさすが紅葉に関してなら、紅葉専門学者はいないに違いありませんが、一般教養としての知識は多くの方がお持ちでありました。中でも日頃私が懇意にさせていただいている、埼玉県自然史博物館の館長を務められたこともある、サンショウウオの研究では昭和の山椒太夫か森鴎外かとも言うべきK先生が、わざわざ以下のプリントを私の家まで届けて下さったのです。 尾崎さん。尾崎さんの紅葉のメカニズムに関する知識は、人並み以上の大浪、荒浪、三角浪ではあられるとご推察いたしますが、一応はK先生のご厚意を無に帰すことのないよう、ここに発表させて頂きます。

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