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第9回
桜のはなし
3. 山桜(やまざくら)

花;直径2.5〜3.5cm
白色・淡紅白色
 日本の野生のサクラの代表といわれます。宮城県、新潟県以西、四国、九州、朝鮮南部の丘陵地の尾根筋で、太陽をさんさんと浴びて、高いものは25メートルに達するほどの高木性です。「吉野の桜」といえば、このヤマザクラのことで、他に京都嵐山をはじめ、日本各地に名所が多数点在しております。
 樹皮は暗褐色。花は吉野で3月下旬〜4月中旬、白か淡紅白色、一重の花を開きます。花と同時に展開を始める新芽の色は、赤、茶色、黄色、緑と変異が多いのが特徴です。果実は5〜6月に紫黒色に熟しますが、食べてもおいしくありません。
 用途は、庭木、盆栽、街路樹、花材、建材、家具、器具、彫刻材、楽器材と実に広く、さらに樹皮はおなじみの茶筒などの細工物として使われます。(近年この樹皮が無法に乱獲される事件が頻発しております。貴重なヤマザクラがどんどん枯れてしまいます…。)


花;直径3〜4.5cm
紅紫色
ヤマザクラ系の他の野生種
 大山桜(おおやまざくら:エゾヤマザクラ・ベニヤマザクラ)
 北海道、本州、太平洋側は岐阜県以北、四国(石鎚山)、朝鮮、サハリンとやや北方系のサクラ。本州では花は4〜5月、葉の展開よりやや早くヤマザクラより濃い紅色の美しい一重の花を開きます。早い所と遅い所とでは3ヶ月は開花時期がずれるでしょう。


花;直径2〜3cm
白にわずかに紅色
カスミザクラ
 ヤマザクラと同じような分布をしていて、3〜4月、純白のいかにもサクラの花びら、とうなずいてしまう、端正な一重の花を開きます。雄しべがほんのり赤く伸びているので、ウメの花と間違えてしまうほどです。日本で最も古い園芸品種である「奈良八重桜」はこのカスミザクラから作り出されました。
 そして古歌に
 いにしえの 奈良の都の八重桜
 今日九重に匂いぬるかな

 と詠まれてもいます。


花;直径3〜4cm
白色
大島桜(おおしまざくら)
 伊豆諸島に自生していますが、伊豆半島、房総半島では古くから栽培され、現在は各地で広く植栽されています。(桜餅は塩漬けにしたオオシマザクラの葉で包みます。)
 花は3〜4月、ほぼ純白といえる一重の、花弁の先端に切れ込みの入った5弁花を開きます。このオオシマザクラの最大の特長は、現在見られるサクラのかなりの品種がこのオオシマザクラと他の野生種(あるいは他の園芸品種)とを交配して(あるいは自然交配で)作り出されたということです。
 現在日本全土に咲き誇るソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンの自然交配で生まれました。そのほか、特に花形や花色の変わったもの、香りの高いものなど、実に様々な品種が作り出されてきました。

   以上4種が山桜系の野生種です。

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