花粉症を甘く見ていたせいで会長にくしゃみをお見舞いしてしまった

2020年4月16日

【突然の花粉症発症】
学生の頃、それほど自分が花粉症だという自覚がありませんでした。母と兄はひどい花粉症で、花粉が本格的に舞う前に病院で薬をもらったり注射を打つ姿を見ていて、大変だなあと他人事にしかとらえていなかったんです。
ただ、春先になると鼻水が出やすかったり目がゴロゴロする症状はありました。しかし、あまりにひどい症状の家族がいたため、自分のそれが花粉症だとは思っていなかったんです。鼻水は寒暖差のせい、目がゴロゴロするのは黄砂のせいだと思っていました。しかし、花粉の魔の手は確実に私の肩に置かれていたんです。
私は就職活動に難航したほうでほとんど毎日、面接と試験、会社説明会への出席で家に帰りつくのが夜遅くという生活を送っていました。さらに貴重なお休みの日には普段休みがちなバイトを入れていたため、実質ほぼ休めない状態になっていたんです。あまりに就かれているので夜ごはんを食べずに寝てしまうことがしばしばでした。一人暮らしだったので他に世話を焼いてくれる人もおらず、気が付くと体重が10キロも落ちてしまったんです。
その頃にはほとんど気力で体を動かしているような状態でした。面接やバイト以外の時間はボーっとしていることが増え、何もしたくないという無気力感に襲われていたんです。
何とか無事に内定をもらった時には、安堵して号泣してしまいました。
そして新生活までの間に体力をつけようと思い立ったのですが、時すでに遅しで、外出するとくしゃみや鼻水が止まらなくなったんです。
それは本当に突然で、病院で花粉症と診断されたときは「まさか」と思いました。ですがアレルギーテストを受けると確かに花粉症で、しかもかなり重症の方でした。それまでほとんど気にしてこなかった花粉症に突然なってしまったんです。思えば内定が出るまでの数か月、まともに食事もせず免疫力がダダ下がりしていました。これまで抑えていた免疫力が下がったことで、花粉症が一気に発症したようでした。
病院から錠剤の薬を貰い、母にそのことを報告すると、「あんたも立派な花粉症ね」と笑われてしまいました。

【新入社員としてド緊張の春】
大学を卒業し、無事内定をもらった会社に入社した私はかなり緊張して毎日を過ごしていました。総務課での勤務でしたが覚える仕事はたくさんありますし、外部からかかってくる電話応対も緊張します。毎日、胃がキリキリしていましたし、喉が渇いてうまく声が出ない時もありました。私が落ち込んでいると先輩が「花粉症の薬は喉が渇くやつがあるから、それが原因かも」と教えてくれたんです。気になるから少し控えてみようかと思い、その日の朝は薬を飲まずに出社しました。私は通勤に車を使っていて、ほとんど外に出る用事がありません。それもあってか、薬を服用しなくても花粉症の症状があまり出ませんでした。頭もすっきりするし、喉の渇きも気にならないので、それから平日は薬を飲まずに出社していました。

【やってしまった!まさか会長に…】
ある日の良く晴れた日に、いつもは本社にいる会長が来社しました。社長と打ち合わせをしたあと会長からランチに誘われ、私も先輩と一緒におともすることになりました。会長は気前が良いマダムで、普段から社員を連れて食事に出てはおごってくれるので、ランチを楽しみにしていた私はルンルンでついていったんです。
ですが、一歩、会社の外へ出た途端、花粉が私を襲いました。くしゃみが止まらなくなり、目はしょぼしょぼで涙が出る始末。ランチに出ただけなのでマスクも持っていませんでした。会長が心配してくれて私にティッシュを差し出してくれたのですが、そのタイミングが最悪でした。
会長が私の目の前に来た瞬間に、特大のくしゃみが出てしまったんです。手で押さえる暇もありませんでした。なんと私は、会長の顔面に向かって思いっきり唾を飛ばしてしまったんです。
その時の私は、もう穴を掘ってでも入りたい、消え去りたい気分でした。会長は笑ってくれましたが、社長も先輩も大慌てで会長の顔を拭いていました。
そのあとに食べたランチの味は、もちろん分かりません。覚えてもいません。消し去りたい記憶として闇に葬りたいと思うのに、会社に行くとみんなにあれこれ言われてしまい、今でも伝説のように語られています。幸い、会長からはお咎めはありませんでしたが、顔面に小娘の唾をかけられるなんて思いもしなかったでしょう。おかげで重役たちにばっちり顔を覚えられてしまいました。
あの時ちゃんと薬を飲んでいれば、会長の顔を汚す羽目にならずに済んだのにと思うと、後悔が大きいです。
それもこれも、花粉症を甘く見ていたせいです。今では花粉の季節になる前に、きちんと病院にいき、薬を貰うようにしています。これからは花粉症ともうまく付き合っていかないと、いつか同じような後悔をしてしまいそうです。今年入った新入社員にも、花粉症の怖さを伝えて行こうと思います。